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研究紹介パンフレット

 

 

 

写真1:アフリカツメガエル

写真2:アフリカツメガエルの卵

両生類の背原軸確立の仕組み: 表層回転と灰色三日月の通説を疑う

 実験形態学 教授 品川 敦紀

 

  アフリカツメガエル(写真1)の卵(写真2)を使って、受精直後から形態形成に至る過 程について、上下同時の微速度撮影による解析などを行っています。カエルの卵は比較的大き いので、実験操作には有利なのですが,不透明さのために、卵全体の変化や運動の観察には不 向きなところもあります。本研究室では、独自に上下同時微速度撮影システムを構築し、発生 初期の卵動物半球と植物半球の変化を詳細に記録分析を行ってきました。その結果、いくつか 面白い知見も得られてきています。すなわち、いくつかの両生類卵で観察される灰色三日月を 作り出す機構として知られる第1分裂前の表層回転での色素の移動方向が、教科書等に紹介さ れている方向とは逆であること、卵動物半球の色素移動の方向と卵植物半球の移動方向は必ず しも一致せず,それぞれが独自の運動を示すこと、これらの 色素の見かけ上の移動は、通常観察に用いられる脱ジェリー卵において顕著に見られるものの,自然状 態のジェリー付きの卵や逆に脱ジェリー/脱受精膜卵ではほとんどみられないこと、などがわかってき ました。これらのことから、当研究室では、シュペーマンらが発見した両生類卵での灰色三日月という, 将来の背側を決定する特殊な構造は、実は,観察のために卵に施した脱ジェリー処理の結果として生じ た、いわゆる人工産物(アーティファクト)ではないかと推察しています。この他、原腸胚における原 腸形成時には、植物半球における原口の縮小と動物半球における胞胚腔の縮小が、大体相関していて、 動物極側からみた胞胚腔の大きさで、植物半球の原口の大きさも推測できる事などもわかりました。